種ありぶどうと種無しぶどうの違い、驚きの歴史と種無しぶどうの作り方
デラウェア、巨峰、ピオーネ、シャインマスカットと、近年は数多くの種無しぶどうが販売されています。 種がないってどういうこと?種ありのぶどうと何が違うの?と疑問に思ったことはありませんか? 実は種無しぶどうは栽培中のある手法によって種ありのぶどうを種無しにしているのです。 どうやって種無しにしているのか、種ありの時と味は違うのかについてまとめてみました。 種無しぶどうの栽培方法 ぶどうの樹は雪解けの頃に芽を出し、春には花が咲きます。 花が満開の時に、種無しぶどうにする重要な作業であるジベレリン処理を行います。 ジベレリン処理とは、植物ホルモン由来の農薬であるジベレリンを水で希釈したものをカップに入れ、ひと房ずつ花房を浸す作業です。 ジベレリン処理を行うことで、ぶどうの花は受粉しなくても実をつけることができるようになるのです。 ジベレリンの発見、偶然できた種無しのデラウェア 写真提供:photoAC ジベレリンは、田んぼで稲がヒョロヒョロと背丈が長く育ってしまい、倒れやすくなってしまう馬鹿苗病という病気の原因となる菌類から発見された成長ホルモンで、その後、様々な植物からも抽出されていきます。 背丈が長く育ってしまうということは成長促進が見込まれるということです。 そのためジベレリンはデラウェアの果実をおおきくする試験に使われていたのですが、偶然実が種なしで大きくなることが発見され、実用化に至りました。 植物にとってジベレリンの摂取過多はこの馬鹿苗病のように有害となりますが、成長にとっては必要不可欠なホルモンで、ジベレリン処理の際には食べても人体に害がない濃度の液体が使用されています。 もともと種のない品種は海外で生産され、レーズン加工にも使われているトンプソンシードレスなどがありますが、先述した種無しのデラウェア、巨峰、ピオーネ、シャインマスカットなどはジベレリン処理が施された人工的に種無しぶどうへと成長させている品種になります。 種をなくす以外にも効果あり、二度目のジベレリン処理 ジベレリン処理を花が咲いた頃に行うと先述のように種無しのぶどうをつくることができるのですが、種のないぶどうはあまり実が大きく育ちません。 なぜなら本来、種からジベレリンが生成され、実を肥大化させるからです。 種の肥大化を促すために、1回目のジベレリン処理からおよそ10日〜14日後に、もう一度小さな実がついた房をジベレリン処理することで、実を大きく成長させます。 ジベレリン処理は大粒のぶどうを作るためにも必要不可欠な工程なのです。 こちらは2回目のジベレリン処理直後のシャインマスカット 種なしぶどう、種ありぶどうで味は違うの? 写真提供:photoAC シャインマスカットはほとんどが種無しで販売されていますが、巨峰という品種では種ありと種無しの両方の表記があります。巨峰は種ありが主流でしたが、需要の高まりから種無しのものが多く作られるようになりました。 日本の種無しのぶどうはほぼジベレリン処理によって作られますが、種ありの時と味は違うのでしょうか。 実は種ありの方がおいしい、と言われています。...